モリステとモリミュ

漫画「憂国のモリアーティ」は2016年からジャンプスクエアで連載中。既刊13巻(2021年1月現在)。ミュージカル化、舞台化両方されている。

ミュージカル、通称モリミュ。第1弾は2019年5月、第2弾は2020年7月公演。ウィリアム鈴木勝吾、シャーロック平野良のW主演。
ストレート、通称モリステ。2020年1月公演。ウィリアム荒牧慶彦主演、シャーロック北村諒
両作品とも大英帝国の醜聞までやっている。

ゲーム原作でもなく漫画原作なのにミュとステをほぼ同時期にやるという何とも画期的な試み。歌があるかの違いはあれど2.5の漫画原作ということはセリフもストーリーもほぼ同じということ。ただ流れはあるがホームズものなので、事件の組み合わせは自由。両作品どこをやったのか見るのも楽しい。
先にやったミュは、歌だけでなく演技の印象も色濃く。ステはどうなるかなと思ったが、、


モリステも面白い!!
モリステ脚本演出、西田大輔。前半は超ダイジェスト、後半はモリミュ1ではやっていない大英帝国の醜聞の話をじっくりと。テンポがよくて面白い話をギュギュットまとめ、どんどん進んでくから飽きない。ウィルとシャロが会わないのに話が成立している不思議。
キャストも舞台の雰囲気もとても華やか。話しをうまく組合せ、見応えがありながらスッキリ楽しく見れるので未読の方にもおすすめ。ウィルとシャロが美しい。痛快劇。

モリミュ脚本演出、西森英行。各キャラの心情を大事に原作の要点をしっかりと抑えていく。原作未読でもわかりやすいが、このセリフが歌に!この場面はこう演出したのか!と楽しみも生まれるので読んでからもお勧め。
W主人公を全面に出し、それぞれのチーム感や主演二人の関係性をクローズアップ。ベテランが揃い全員が演技と歌で感情をぶつけあう。見終わったとき満足感と心地よい疲労感のある作品。ちなみに生演奏、歌も全員上手い。


上の段がモリステ、下の段がモリミュで演じ方の違いを比べていきたいと思う。モリミュは2までを含めた印象です。主観ですので御容赦下さい。

〈ウィリアム・ジェームス・モリアーティ〉
ステ荒牧慶彦。荒牧ウィリアムは、感情が薄く何を考えてるかわからない孤高の存在。表面上は取り繕っていても仲間に対してさえ情があるのかないのかわからない。少し怖い。だけどその魅惑的な佇まい圧倒的カリスマ性に惹かれ、優秀な人物達が集い個々に動いてくれる。美しく人を惑わす妖狐。

ミュ鈴木勝吾。勝吾ウィリアムは、悪党には容赦ないがそれ以外にはとても情が厚い。チーム全体が家族のよう。神々しいほどの優しさとオーラ、優秀さに惹かれ皆が協力してくれる。悪魔の高音で人を操り裁きを下す。

だいぶ違うウィリアム。荒牧ウィルはサイコパスに焦点をあて、勝吾ウィルは弱いものを助けるという根底にある優しさに焦点をあてた。原作から出てきたかのような荒牧ウィルと、女神とも悪魔とも思える勝吾ウィルの圧巻の歌唱は必見。


シャーロック・ホームズ
ステ北村諒。北村シャーロックは光のやんちゃな主人公。乱暴なとこや横柄なとこはあるけど正義感が強くて優しい。話し方からも頭が良く、頼りになる存在なのがわかる。人気少年漫画の主人公のよう。そして色香のある美しいオーラ、その容姿から発せられる低音ボイスからの乱暴な言葉。上手いのはもちろん、見てるだけでもお金を払う価値がある。

ミュ平野良。平野シャーロックは闇の変人。何かあればすぐにでもこの世界からいなくなるかもしれないという危うさと狂気。謎に対する異様な執着。思考の速さが早口からもわかる天才ぷり。原作と原典のシャーロックが混ざりあう。台詞のように歌い、歌うように台詞を言う。そして漂う色気。一度はまると抜け出せない。

平野シャロが原作そのままだったので、それ以外ありえんという心持ちでモリステを見始めたが、アプローチは全然違うのに北村シャロもすごく憂国のシャーロック!北村シャロはやんちゃだが真っ当、光を放つ。平野シャロは癖があり薬物中毒、闇も放つ。表現の違いが面白い。


〈ジョン・H・ワトソン〉
ステ松井勇歩。松井ワトソンは、シャーロックの可愛い舎弟。シャーロックが唯一息抜きできる相手。癒し。和ませ役。とにかく仲良しで、いじられ愛される可愛い存在。柴犬。

ミュ鎌苅健太。鎌苅ワトソンは、シャーロックの天使。圧倒的光で闇落ちさせない存在。愛らしく包容力も溢れるほどに。実はジョンがシャロを上手くコントロールしている。飼い主。

両方見たことで、ワトソンはシャーロックの演技に合わせて作られていることに強く気付かされる。平野シャロの闇が深いので鎌苅ワトソンは光を強く照らし包みこむ必要があるし、逆に松井ワトソンは北村シャロが光なので照らす必要はなく仲良しの可愛い相棒でいい。


アルバート・ジェームス・モリアーティ〉
ステ瀬戸祐介。瀬戸アルバートはすごく頭も切れるし、悪巧みめちゃくちゃ考えてる。そして自ら動きまくる。優秀すぎる。抱かれたい。モリステのブレーン。

ミュ久保田秀敏。久保田アルバートは優雅で気品があって、まさに貴族。駆け引きが上手く、大人の余裕がある。でも心の闇が深すぎる。絶対にヤバい人。

アルバート兄様は両方ほんとに素敵。両作品ともそれぞれ魅力的で一番好き。アルバートでスピンオフ作ってほしい。


〈ルイス・ジェームス・モリアーティ〉
ステ糸川耀士郎。糸川ルイスは妖精。守りたくてしょうがないみんなの弟。誰にも触れさせたくないし、甘々に甘やかしたい。殺しなんてもってのほか。真っ当な道で生きてほしい。

ミュ山本一慶。一慶ルイスは強火の同担拒否。兄さんへの愛が凄まじい。シャーロックへの殺意が半端ない。兄さん以外どうでもいい。色んな意味で危ない。超強いのでどんどん戦ったほうがいい。

兄のことを大好きなのは一緒だし両方ルイスだが、ベクトルがまっったく違う。糸川ルイスの可愛さと一慶ルイスの美しさを一度拝むべし。


〈セバスチャン・モラン〉
ステ君沢ユウキ。君沢モランは歩くフェロモン。頼りになる兄貴。全部任せておけばいい安心感。戦いを挑んでも絶対にかなわない。えっ急に脱いだ!肉体やば。

ミュ井澤勇貴。井澤モランは硬派。美声。かっこいい。頭の回転もはやく、性格に難がありすぎるウイリアムチームのバランスを取る。女は寄せ付けない。足が長い。とにかく長い。

君沢モランは刺激が強い、大人の色気をぶつけてくる。井澤モランはモリミュ2がおすすめ、全人類惚れる。
フレッドだけは、赤澤フレッドの静かな情熱が好きすぎて比べられない。


脚本演出はもちろん、演技も両作品違いがはっきりしている。ここはこっちがよかった、同じセリフでもこういう表現があるのかとか考えるだけでも楽しくて、だから両方見ると余計に楽しい。
ただモリステはモリミュと話しがあまり被らないように大英帝国の醜聞までかっ飛ばしているので細かく考えず見たほうがいい。逆にモリミュはもっとスッキリできたんじゃないかなと思う部分も。こればっかりは好みの問題。
現在は円盤を買うしか見る手段がないけど、たまに日テレプラスで放送するのでチェックしてみて下さい(2021年1月に両方放送されます)。そして両作品とも続編お待ちしてます。


憂国のモリアーティはアニメもはじまり第一期が終わったところ。アニメも原作に沿うだけでなく少し変えていて違いが面白い。しかもアニメより舞台が先なので、先にミュとステそれぞれ俳優さんの解釈で演じ、あとから声優さんの解釈も聞けるという贅沢。メディアミックスが色々あって恵まれている憂国のモリアーティをどうぞよろしくお願いします。

舞台「文豪とアルケミスト 綴リ人の輪唱(カノン)」

すごくすごくよく出来た演劇だった。観た後ズシっとくる感覚があって放心状態になる。この感覚を味わうために平野さんの舞台に通っている。コロナで中止した公演もあり結果的に昨年末から主演が4作続いており、すべてが心に響く作品。毎回こんな気持ちになれて幸せだ。

賛否と共に熱狂も生み出した今作、役者の熱量に押しきられたといっても過言ではない。下手な役者がやれば即否に傾きかねない、色んな意味でギリギリを歩くこのお話し、上手い役者陣からクソ重い感情をぶつけられて、すぐには消化できず、いったん考え咀嚼せざる得なくなった。絶賛する人、否定する人、何度も見て希望の光を見出だす人様々だった。
でも文劇3は作品にどんな感想を抱くかは読み手の自由というメッセージをうちだしていたこともあり、各々が思ったことをつぶやいていた。それが文学好きな文アルのお司書さん達なので考察も文章力もレベルが高い。だから感想読むだけでも面白い作品で、気になって配信を買う人が沢山いたのも興味深かった。舞台は現地に行くのがもちろんいいけども、この作品は映像でも伝わるものが大きくて配信にも向いていたと思う。


北原はくしゅう役、佐藤永典。さとちゃん、めちゃくちゃ素敵だった。いつのまにこんな素敵な役者さんに。意地悪言わない白秋先生。聖人であるけど時折見せる陰に魅せられる。熱を込めさせれば心に訴えかけてくる。武器をかまえさせれば殺意が高い。さとちゃんは奥底に鮮烈にきらめくものを持っていて美しく危うい。それが白秋先生と呼応して魅力的で、先生に荻原と室生がキャッキャしてるのが羨ましくて弟子になりたい!と何度も思った。本人が認めなくても、弟子が一万人は増えたと思う。

萩原さくたろう役、三津谷亮。三津谷くんは一回見ただけでもお芝居が大好きで、そして天才の部類なのがわかる。滲み出るオーラと感性に惹き付けられる。朔ちゃんは、前回はおどおどしていたのに仲間を得て生き生きとしていて、2を見ていたからこそ仲間に会えてよかったなとこちらまで嬉しくなった。朔ちゃんが転ぶことで逆に三津谷くんの体幹の良さが際立つ。いつか平野さんとのガチ芝居が見たい。

室生さいせい役、椎名鯛造。今作のかなめ。説明役でもあり、空気を安定させ盛り上げる。特に後半の萩原や太宰への呼びかけなどを見てると、鯛ちゃんいなかったら感動が半減するんじゃないかとさえ思う。今まで華麗な殺陣ばかりに気を取られていたが、何て上手い人なんだと思った(語彙がない)。そして相変わらず太陽のようにまわりを明るく照らす存在感。室生にもぴったりだった。

中原ちゅうや役、深澤大河。今回唯一の太宰の理解者。懐がふかい深澤くんが演じることで、寂しさを抱えていてどうしようもない酒飲みだけど、実は太宰を気にかけてて優しく頼れる印象が強く残った。そしてすごく可愛い。ちゅうやをどんどん好きになるし、深澤くんは今回唯一の20代しかも25歳でこのメンツに入れる落ち着いた雰囲気と実力。将来どうなるのかソワソワする。

江戸川らんぽ役、和合真一。また声が良くなってる!なんて良い声。声優さんかなと思うくらい。説明長台詞も安定してて聞きとりやすい。 鞭の殺陣も多くて妖艶で。ビジュアルもキャラクターもガチッとはまっていて、芸術作品の自撮り見るのも楽しみだった。悲の感情の出しにくい役だと思うけどキャラクターを保ちつつ色んな感情を出し、美しく華やかに妖しく。また和合の世界に魅了された。

芥川りゅうのすけ役、久保田秀敏。芥川のみシリーズ全てに出演している。芥川がいることで世界観がつくられる。文劇3の先生は特に優しくて殺陣が激しい。言葉の説得力、柔らかさ、儚さ、強さ。さらにくぼひでが演じることで可愛さ増し増しで、太宰くんとやり取りが微笑ましかった。見た目も含め、彼以上にこの役をできる人は存在しない。


太宰おさむ役、平野良。幼く純粋で可愛いけどカッコいい。躁鬱でテンションジェットコースター。JK、推しは芥川。民衆(私達)であり天才でヒーロー。なんだこの設定。それでも全てひっくるめて彼であり、一人の人物としてどんな一面をみせても違和感なく作り上げられていた。
前半は道化であり心の揺れを細やかに見せられ、ハラハラして見てると案の定……でも支えられ思い直し誰よりも強く固い意思をもって敵に立ち向かう。色々なものを背負い、でもどこまでも真っ直ぐで輝いていてすごくまぶしい。

今回殺陣が多い!大きな鎌をクルクルと回し、マントを翻し、華麗に舞う。音楽に合わせて殺陣をしたり惚れ惚れする。あとはやっぱり可愛い。あー可愛い。いつまでも見てたい。あんだけ動いて喋ってフェイスシールドが曇らないのは何故なの?発声法なの?

文劇の戯曲が発売されて、文劇1を見たときはほぼアドリブなんじゃないかと思っていたが、ほぼ脚本どおりなことに驚いた。その台本をもとに文アルの世界にするために平野さんが悩んで模索した結果、文アルだざとは少し違う劇だざを愛してくれる人がたくさんいて、作品が好きだと言ってくれる人がいるなんてすごいことだなと思う。ただ平野良はキャラに思い切り寄せることもできるよとお伝えしたい。憂国のモリアーティのホームズも封神演義趙公明もキャラそのままだと評判だよ。でも濃いから脳裏に張り付いて離れなくなるのは文劇の太宰と同じだよ。


文劇は一端ここで終わりとのこと。要望があれば続編を作る可能性はあるらしい。どちらにせよ平野太宰の役割は終わったのかな。でも無頼派4人がいつか見れたらとても嬉しい。そんな日を願って。

千銃士 絶対高貴LIVE2020 ~勲章授与パーティ~

投稿し忘れてたので今さらですが、
千銃士ーーーーー大好きだ!!!高揚感と多幸感に溢れたライブでした。そして何より新作アプリおめでとうございます!!推しがいたこともあり、ずっと続けられたアプリゲームは後にも先にも千銃士だけ。千銃士が好きだった。ほんと第2弾まで押し上げたマスター達の愛はすごい。完全新作ということでどんな感じになるかはわからないが楽しみ!!


ブラウン・ベス、CV八代拓。千銃士の真ん中はベスくん以外考えられない。そして、ベスくんそのままのような八代さんの誠実な人柄と愛くるしさ。顔がいいスタイルがいい歌もうまい、もちろん声もいい演技もいい。声優界はどうなってるんだ。八代さんの歌う姿にときめいて、ベスくんの歌が一曲通すと千銃士で一番かっこいいと思った。

シャルルヴィル、CV立花慎之介さま。戦場で佇むシャルルを見た時からどんどん好きになりました。いつも陽気な感じなのに根底にある深い闇と弱さが好き。シャルルの中の人が目の前で喋ってる、歌ってる!なんで甲高いのに甘い声が出せるの?とずっと興奮してました。立花さんは多才でしっかりしてて黒いものも持ってる感じもして…好きです!!

エセン、CV山本一慶。エセンは一度ハマると抜け出せない。何やっても可愛いやつめという感想になる。一慶さんは声優も歌も上手いしアドリブ適応力も高く印象にも残るんだけど、顔が……顔が良すぎて…結局感想が「顔がいい!!いつまでも見てられる!!」て最終的になっちゃうの申し訳ない気持ちになる。でもやっぱり顔がいい。歌の前に存在を示すためにエピ読み上げるの良かったなぁ。

エンフィールド、CV鈴木勝吾。エンフィだからなのか素なのか、勝吾くんは天真爛漫という言葉が似合う。ニコニコで歌ってるのも話してるのも可愛いくて向日葵みたいで。色々アピールするのも可愛らしく、歌うと上手すぎて鳥肌がたつ。最後の挨拶でマイクを持ってる関係上、隣の人の手首をみんな掴んでるのに、ベスくんとエンフィだけ手を繋いでてキュンとした。愛される人。

フルサト、CV高城元気。フルサトさんは貴銃士思いで、戦闘時でもいつも周りを庇ってくれる皆のママ。そして高城さんも千銃士への愛が半端ない。それが伝わるから最初の紹介でキャラの画像が出るとき、一番歓声が大きいのがフルサトさん。全方位に愛されている。見た目もジャンプもかわいい。最後のコメントでどんなに離れてても…みたいなこと言っててママ、アプリ2も出るよね!?暴動おきるよ。

ホール、CV白井悠介。ホールはチャラいようで色々考えていて気遣いができる。白井さんもサービス精神が旺盛で、とにかくスターを徹底していて何をしても面白かった!迷走していたような、ずっとスターであったような。歌も上手いしアドリブ能力が高く、何だかすべてが面白くて。ホールにそして白井さんに、すごく愛着がわいた。

ネイビー、CV市川太一。えっかわ…かわ…かわいい。とずっとつぶやいていた気がする。ご本人も可愛らしいし、声も演技もかわいすぎて、どこからその声が?なぜ実装されなかった?レモネードをひたすら与え続けたい。貢ぎたい。囲いたい。

ペッパー、CV千葉翔也。ちばしょーさんがライブ出演が決まって話題になってたけど納得。歌手がメインなのかと思うくらい歌が上手いし顔もいいし、ペッパーくんのキャラもツンデレで演技が上手い。ネイビーとの2人の絡みが可愛くて、すっかりネイビーペーパー推しに。平野さんが色々すみませんでした。


アレクサンドル、CV平野良。何故か貴銃士代表の任を受け、アレクの柔らかく良き声でマスターへの勲章授与式の読み上げ等しており、声優さん達にお任せしなくてよろしいので?という気分になりましたが、幸せでした。

次に俳優陣三人とペッパーとの朗読劇。平野さん一人だけアドリブがすごいので、アウェイで正気なのかと思ったら、台本に「アドリブで」と書いてあったらしく失礼しました。俳優陣は平野さん慣れしているので、一発高貴が見てみたい~等とふられても華麗にこなしてましたが、ペッパーくんは途中から登場し会話に入らなくてはいけないのに、アレクが永遠とアドリブをやり続けるので会話に入れずソワソワ、しかも夜にはアドリブに巻き込まれる、ちばしょーさんの困惑が可愛かった!

歌はさらに激しめにアレンジされており、キラキラしてて熱量が込められてて、両手でマイクを持って歌う姿がすごいかっこよかった!!間奏でのセリフで引き込まれ、そして最後のtrust meのロングトーン。みんな拍手するために歌が終わるのを待ち構えていた。でもロングトーンがいつまでも終わらないので、途中でザワザワし始め、それでも終わらないので歓声が!そして終わったあとは一呼吸置いて全視線を集めたあとに、微笑みと共にアレクを思わせるような高貴で優雅なお辞儀!キャーーーーー!の後、どよめきがしばらくおさまらないのが印象的だった。いやすごかった、アドリブとのギャップ。手のひらで転がされてる。

夜の最後の挨拶は、順番が(スターに徹する)ホールの次なので荷が重いとか言っておきながら、挨拶始めれば独壇場。アレクのキャラを軌道修正したい→マスターに零度のキスをとリップ音サービス→(歓喜の声)→ホールのマネでサンキュー→(爆笑)→軌道修正出来てない!と突っ込みを受ける。どこから計算して話してるの!?

終わったあと千銃士ファンは大丈夫だったのかと内心ビクビクしてたら概ね好評で、ファンになった人までいて??今回の歌と短い朗読で転生したかのように平野良のアレクが歩みを始めていたし、一挙手一投足が観客の心を掴んでいてすごい人だなと思った。


あと昼と夜公演の休憩中に皆で盛り上がったらしく(おそらく下世話な話し)、俳優陣と声優陣が仲良くなって雰囲気が変わたのが印象的だった。昼は緊張感がすごかったが、夜は打ち解けて全体的に雰囲気が柔らかくなっていた。


絶対高貴ライブほんとに楽しかった。ライブに朗読劇にトーク。満足度が高いのに加えて、サ終して一年たった後なのにコンテンツが継続し、たくさんのマスターが集まったこと。声優さんたちの思い。そして新アプリリリースが決まったこと。夢なのかなと、しばらくフワフワしていた。前回もDVDは出てないし難しいかもしれませんが、せめて配信お待ちしてます!そしてリリースはいつかわからないけど新作アプリをお財布握りしめて全力で待機しています!!

ミュージカル「憂国のモリアーティ」Op.2 ♯モリミュ

キャス変なしでの待望の第2弾。なのにコロナで中止になるかもしれない一か八の状態。チケットも前回の評判から通常でも激戦であろうに、客席半分で激戦どころの騒ぎではないくらい取れない。取れたとしても泣く泣く諦めた人も。そんな緊張状態の中、めでたく初日を開け大千秋楽まで無事に終わった。たとえ席は半分であっても拍手は満席以上に大きな拍手が響きわたっていた。

脚本・演出、西森英行。西森さん得意の関係性エモを詰めるだけ詰めまくった今作。ライバル、兄弟、仲間、恋。クソデカ感情のぶつけ合い殴りあい。今回色んな話を詰め込み交差。でも原作の大事な要点をしっかり押さえ、歌や殺陣など個々の見せ場がすごく増えて楽しさ倍増。裏の社会で暗躍するウイリアムチームと表の社会のシャーロックチームというチーム戦。ウイリアムチームはどこか儚く、シャーロックチームはエモーショナルに。この高揚感のある作品は西森さんだからこそ。

作曲、ただすけ。かなり違う曲調を、世界観を崩すことなくキャラと演者の特徴に合わせて作曲してくれている。しかも前回の歌唱をみて、このくらいまでいけるという予測の最高値よりもさらにその上まで難易度を上げるという、鬼の仕様。でも個々の魅力を引き出す曲が多く聞いててワクワクする。そして公演数を重ねるほど役者のギアがどんどん上がっていく。どういう経緯でただすけさんに依頼し受けてくれたのかわからないが、ミュージカルは2年目とのこと天才。



イリアム役、鈴木勝吾。今回も悪魔の高音というか、もはや神に思えてきました。セットの高台に常にいるウイリアムには後光がさしていて会場全体に高音を響かせる。前回は高音が苦しそうな時もあったのに、容易く歌えるようになり曲やキーが難しいことも忘れてしまうほど。声が柔らかくなり表現力も増し、優しい印象が強く。何を考えているかわかる光のウイリアム。ソロは鳥肌もの。

アルバート役、久保田秀敏。暗躍しまくる、大活躍。そしてずーっと色気を振り撒く。あんなに仮面似合う人います? 大人の余裕、所作の美しさ、低音の良い声、ダンスの華麗さ。惚れた。すごく格上に見えた。でも腹の底で何考えてるかまったくわからない。漆黒なのはわかる。モリミュで一番ヤバイのはアルバート。笑った顔にゾクッとする。キャラによって独特雰囲気出すのが最高に上手い。

ルイス役、山本一慶。兄さんって何回言うのかってくらい連呼する。他は目に入っていない。素敵。兄さんにちょっかい出すと殺される。シャーロックへの嫌悪から顔を歪めるのがたまらない。美しさに磨きがかかっている。声量と艶のある声。演技力が高いためただ立っているだけで伝わる殺気。そして殺陣がもうため息しか出ないほど美しい。メガネとるのはもう…。

モラン役、井澤勇貴。覚醒。元々あった歌唱の安定感と超美声に加え、声量が格段に増え感情もすごくこめられるように。どうした、彼に何が起きた。演技に癖も加わり、抜群のスタイルとキレイな顔、美しくかっこいい殺陣とオーラも相まって、無双状態。うわぁかっこいい…以外の感想が出てこない。とにかく見てほしい。

フレッド役、赤澤遼太郎。モリミュの癒し。女装姿は誰よりもかわいい。フレッドの静かな怒り、不安、焦り、悲しみ。感情を全面に出せないぶん難しいと思うのに常に伝わってきた。すごい解釈一致。千秋楽で歌も演技も公演前半よりえげつなく成長していて驚く。本人の努力と才能、そして環境。百戦錬磨の先輩たちと対等に渡り合っていた。


シャーロック・ホームズ役、平野良。過激な狂気と驚喜、内面の繊細さ、決断力と強さ、感情も表情もクルクル変わる。しかも全ての感情が歌でもセリフでも動きでもダイレクトにこちらに伝わる。シャーロックから目が離せない。一人でヤンデレツンデレ、切ない恋心まで演じる。ゆえに登場人物のほとんどがシャーロックに夢中。なぜ指で氷を…そのネクタイの外し方…

前半はシャーロックのヤバさが際立つ。精神不安定、闇が深い(好き)。怖いくらいイカれている。でも後半も見てると彼の周りには支えようとしてくれる人が沢山いて、そんな彼自身も人を助けたいと必死で考える姿にキュンとする。ジョンと呼ぶ声が好き。圧をシーンによって使い分け空気を操り、癖も増し増し魅力たっぷりに演じていた。

シャーロックには音程とリズムの難しそうな曲がいっぱい。前半の曲は歌ってる?話してる?どういう状態?超絶技巧。後半には前回の歌唱から作ってくれたであろう悲哀が伝わる感傷的なソロ曲が多い。歌から伝わる想い、悔しさ。その熱にひきこまれ、心が締め付けられた。好きなのはアイリーンの部屋にジョンと潜入するコミカルなロングナンバー。セリフだけでなく、歌っていても独特の抑揚と心地のよいリズム。永遠と聞いてられる。


ジョン・H・ワトソン役、鎌苅健太。シャーロックの天使。安定剤。可愛いの権現。一人キラキラキラキラしてる。鎌苅ジョンの安定感と包容力から、シャーロックに振り回されているようで、実はジョンくんの手のひらで転がしているようにも思えた。機転が早くコンビの掛け合いもどんどん冴え渡る。息ピッタリ。 今回愛の歌がなかったのが残念。オープニング曲最後で座らせようと思ったの誰?天使がいる。

ハドソン役、七木奏音。めちゃくちゃかわいい。ハドソンさんのときだけ幼児番組のバイキンみたいの出てくるけど、それが可愛さに拍車をかける。強さと品のある感情豊かな歌声。プンプン怒っていても愛情が伝わるので、シャーロックが頭が上がらないのも納得。好きすぎて、彼女を泣かせたら承知しない!という気持ちが湧きあがる。

レストレード警部役、髙木俊。確実な笑いを担当しメリハリを付けてくれる。みんな感情で殴り合ってるなか、レストレードが出てくると期待と共にホッとする。ヒーリング効果がすごい。そしてシャーロックを大事にしていることが凄く伝わる。しゅんりーさんの存在は偉大。


アイリーン役、大湖せしる。宝塚で長年男役をやってから女役に転向されたお方。まさに適役。男役はかっこよく、女役のときは峰不二子ばりに色気を振り撒く。 だけどやっぱり一番すきなのはボンドになったときの歌声。最っっ高にかっこいい。次作が楽しみ。顔がびっくりするほど小さくて目が大きい。そしてあんな細いのに胸がでかい。なぜだ。

マイクロフト役、根本正勝。シャーロックの兄であり、シャーロックよりも手強い存在。凛としていて、とにかく品がすごい。歌声もカーンと響くまっすぐな高い声。政府の要人感がすごい出ている。アルバートとの色気対決も素敵だったし、冷たい雰囲気なのに弟に対してだけ柔らかくなり大好きなのが伝わって二人のシーンがもっと見たかった。


ピアノ、境田桃子。桃子さんは3時間弾きっぱなし。常に演者に合わせないといけないのに、すごい集中力。稽古からずっと演者に寄り添うモリミュのかなめ。バイオリン、林周雅。林くんの技術と表現力はすごいんじゃないかと素人ながら思う。シャーロックの影でもあり、一緒に走って登場してきたり、悪魔角つけたり、動きもシンクロしてるとこが多くなってほっこりした。

前回より歌唱力がパワーアップしたアンサンブル。ミュージカルを主戦上にやってる方々が多く、上手いし特徴のある演技や見せ場があったりして顔や名前を覚える。ウイギンズが好き。
他にも手技足技を使った派手でかっこいい六本木さんの殺陣、舞台上がすごく華やかになるMAMORUさんの振り付け、一番大事な”音”がきれいに聞こえるシンヤさんの音響、他にも衣装や照明、宣伝に至るまですべてに抜け目が無い。箱推しとはまさにこのこと。


モリミュOp.2はストーリー、演技力、殺陣、見た目を含めた2.5次元の高揚感を残したまま、グランドミュージカル並に歌う。一部キャストだけでなく全員が強い。2.5として和製ミュージカルとして新たな道が広がる可能性が見えた作品だった。大人の2.5次元が根付けばいいなと思う。

この作品は、なんといっても演出の西森さんが凄い。脚本演出はもちろん、このアクと主張の強そうなキャスト陣をまとめあげて、ここまでの作品に昇華するのは並大抵のことではないと思う。人となりや作品への情熱がわかるので、平野さんと西森さんの対談を見てほしい。Op.3もやってくれるはず。キャス変なしで…期待してます!!
https://youtu.be/2g5mh3LCybk

舞台「ウエアハウス -double-」

閉鎖された教会の地下にある“憩いの部屋”で活動する暗唱の会。各々が詩や小説、戯曲などを暗唱するサークルに参加しているヒガシヤマ(平野)は、ある日、一人でアレン・ギンズバーグの長編詩「吠える」をひたすら練習していた。そんな彼のもとに謎の男・ルイケ(小林)が現れ・・。

2人芝居。前半はひたすらに2人の何気ない日常会話。でも目が離せない。ルイケは距離感の詰め方が異質で、どこか危ない感じを漂わせている。そんなルイケにこちらは不信感や心のざわめきを感じながらも、さして警戒する様子もなく自分が好きなことをすごく楽しそうに話すヒガシヤマを見ていると、2人の恋でも始まるのかとさえ思った。
けれどヒガシヤマが暗唱を披露するとこから雰囲気がかわる。暗唱し始めるために息を整える段階から空気がピリッとし、静寂から息もつかせぬ圧巻の暗唱がはじまる。すべての空気が掌握され視線が心が捕らわれる。
ヒガシヤマの暗唱が終わると何か感じたのか、ルイケが自分のことを話しはじめる。それがどれもこれも聞いてると気が滅入るようなことばかり。もう聞きたくないという思いが頂点まで達したとこで、やっとヒガシヤマが帰ると言い出す。なぜだと責め立てるルイケ。無理に帰ろうとするヒガシヤマだが…

もう心のざわめきが止まらない作品。後半は特に心臓がギュっとなって怖くて早く終わって!と思うほど。舞台は四方が席に取り囲まれ、舞台上には四角い黒いイスがいくつかあるだけ。観客席との境目がないので、そのうち二人を覗き見ている感覚に陥り、物音を立てたらルイケに気付かれて襲われるとまで思う。
舞台が終わったら開放されるのかと思いきや、最後がすっきりしないこともあって、ざわめきはおさまらない。凄いものを見てしまった。あれはなんだったんだ。何を見せられたのだろう。意味を見いだそうと必死になる。でもわからない。それでも落ち着くと、もう一度あの感覚を体感したくなる!毎回変化があったようで、全てを目撃したい全通したいと強く思った舞台は始めてだった。

演出・脚本、鈴木勝秀。微妙に会話がずれている感じや、人の聞きたくないことを絶妙に突いてくるセリフ。恐怖、緊迫感の作り方。どうやったらあんな会話劇が書けるんだろう。そして音響が怖い。
今回、新作「るぽえ」と「ウエアハウス」の2作品同時上演だったこと、この舞台はスズカツさんが26年に渡り実験しており役者に委ねる舞台ということで、演出はほぼせずいつも一回通して終わりだったらしい。だからこそ演出に縛られず毎回その時の気持ちで日々変わっていけたのかもしれない。でも役者だけでこのクオリティを出せることもビックリだし、脚本がよほどよく出来てるんだなとも思った。前回は3人芝居だったらしいのだがどうやったのか気になりすぎる…。

ルイケ役、小林且弥。背が大きく色気があって怪しげな雰囲気。もうそれだけで普通の人ヒガシヤマは絶対にかなわない絶望感。目が怖いイっちゃっている。会話も噛み合っているようでどこかズレていて、ノイズがだんだん大きくなっていく。圧の出し方が上手い。初回はただ、ただ、何この人!!早く逃げたほうがいいよ!と本能が叫んでいたが、2回みると、どうしてほしかったのか(初回は恐怖でそれどころではない)何となくわかったり、悲しい人なのかなとか、やっている事は初見と変わらないはずなのに色々と考えさせられた。

ヒガシヤマ役、平野良。設定は36歳既婚子持ち。何だかふんわりしていて可愛い。普通にいる人にみえるけど、実際はこんな可愛い36歳はいない。理詰めで話してくる感じも堪らない。暗唱すると覚醒する。平野良の真骨頂。この暗唱聞くためだけでも毎日通いたいと思ったし、これを聞くためにDVDが出たら絶対買う。
ヒガシヤマは少し警戒心の弱い普通の人。でも印象がないわけじゃなくて、むしろ印象が強くて、普通の人上手すぎない!?と思うのは何なんだろ。普通とはなんぞや。だからかこの作品、日によって変わるのはルイケではなくヒガシヤマだった。
ヒガシヤマが普通の人であればあるほど、恐怖すればするほど、その恐怖に呼応してしまう。でもノイズについて嬉しそうに話したり暗唱を見るとやっぱりどこかおかしいのかなとも思う。そんなとこにルイケも感化されてしまったのだろうか。


すごい二人だった。この作品は苦手な人もいただろうし、私もホラー系は苦手なので見終わるまでは一回でいいと思ってた。だけど映画を見ているのとは違う、目の前で繰り広げられているからこそのリアルな緊張感。なにものにも代えがたい感覚。演劇の醍醐味を味わえた作品だった。衝撃が強すぎて、それこそ賞もらえるんじゃないかと考えていたくらい。平野良のルイケも見てみたい。でも平野良の狂気をあんなに浴びるのは怖い。


色々な演出家さんとやりたいって言ってたけど、色々な演出家さんで見れるのはありがたいし、見ていてとても面白い。
平野さんは毎年今年の漢字を発表している。一昨年は「繋」。昨年は「旺」。今年は「為」で、その幕開けがウエアハウス。毎年その通りになっているので何を為してくれるのか、とても楽しみです。

舞台「明治座の変~麒麟にの・る」#る変 #るひま

題材は本能寺の変平野良、安西慎太郎のW主演。天下人のみに見えるという麒麟が出てきたり、令和からタイムスリップしてくる竹中半兵衛がいたりと、とんでも話なのかと思いきやそこは取っ掛かりでしかなくて、兄弟の少し切ないでも見終わったあとは心が温かくなるそんなお話。

るひま×明治座の年末シリーズ。今回で9年目。年末るひまは特殊で、るひまに出ている常連役者が主演になれば、るひまのファンで集客できていた。でも近年は年末舞台が増え、集客も難しくなっていることに加え、主演のできる力量のある人を囲い込めなかったことで主演不足に。そこで白羽の矢がたったのが平野良。シリーズには6年前に一度出たきり。だが元々年末るひまは鍋派生であること、未だに伝説になっている「ちゅらくてほー」があったからかるひまファンにも歓迎された。

脚本、赤澤ムック。お話しがエモかった。23人それぞれに見せ場もあってバランスがよく、あてがきされた脚本。特に安西くんと平野さんの実力を見越した上での作りになっておりムックさんの二人への信頼も垣間見えた。
る変は兄弟のお話。名前を捨てた2人。自分が何者かわからなくなっても思いがすれ違っても、自分は兄であり弟であるという思いだけは捨てきれない。伏線もあって気付いたときの驚き。悲しい最後ではあるが、あーよかったなと不思議と余韻が残る。ファンタジーでどこかロマンチックで、とても素敵なお話でした。

演出、徳川家康役、日替わりルイスフロイス役、原田優一。演出のときは演者として出たくない派なのに、るひまに馬車馬のように働かされた原田さん。2部にも出てた。原田さんが演者の時は、割とねちっこい笑いなのでどんな風になるかと思ったら、驚くほど無駄のないスッキリとした演出!エチュードがないのも良き。笑いもあるが平野×加藤さん、谷戸さんが主軸にいたので安定感と面白さもあり、話にも絡んでいたのでちゃんと演劇の一部に。物語を考察する余地を残しながらも大事な部分以外をそぎ落とし、歌や殺陣など全てのバランスも絶妙。中だるみもなく、スッと頭に話しが入ってきた。番外編として演出を任されたのもすごく納得。そして演者としても、やっぱり歌がめちゃめちゃ上手いし見せ方も上手。笑いも達者でルイスフロイスで出てきたときはすごい笑った。


織田信長役、安西慎太郎。平野さんと人物の作り方が似ていると思った。少し癖があってインパクトある魅力的な織田信長。狂気の中に悲しみと哀愁が見えた。とてもこわい役でどんどん狂っていくのに、誰か僕を止めてと叫んでいるようにも思えて、可哀想だったし愛おしくさえ感じた。
そしてW座長の相性がとてつもなく良かった。9つ年齢が離れた芝居のベクトルが似ている天才同士の今だからのやり取りで、安西くんがどんどん打ち込み、平野さんが大きくしっかり受け止める。次はどんなやり取りが行われるのかワクワクして、いつまでも2人の芝居を見ていたいと思える初めての感覚に陥った。また共演してほしい。あと平野さんの慎ちゃん呼びがたまらんかった。

明智光秀役、平野良。他の人がやれば、特徴が多く印象強い織田信長に喰われてもおかしくない役。才能がかいまみえる瞬間は少しだけあるが、飄々としていてとにかく逃げ回るので、よくよく考えると全部お前のせいだと思えてイラッとしてくる。でも何故か嫌いになれない。愛嬌があって根底には深い優しさがあるのが伝わってくる。狂ってしまった弟を深い深い優しさで包み込む。そのうち観客をも優しさで包み込んでいき、自然と心を掴まれる。
普通の人の役を天下の織田信長と対等もしくはそれ以上にしてしまう凄さよ。またガチッと固めた安西信長に対し肩の力が抜けた演技で、お互いに魅力が増したのは勿論、長い公演時間でも胃もたれせず見ることができた。
そして歌!もう聞き入ってしまう。パンの歌も大好きだし、今回心情を歌って聞かせる歌唱が多くてとてもよかった。最後弟に対して歌うとこは何度みても涙ぐんでしまう。感情が流れ込んでくる。早くDVDを下さい!


きりん役、加藤啓。45歳とにかく可愛い。顔もいい。きりん!きりん!と言っていて子供のような言動も多い。ポンコツと言われ、安楽死させるとまで言われ、高所恐怖症をなおして空を飛ぼうとがんばっている。どんどん愛着湧いていなくなったときは悲しすぎた。アドリブもさすがで平野さんに頭のおかしい大人と言われた意味もわかる。平野さんとのコンビ好きすぎた。

飼育員田村さん役、中村龍介。神の使い。なんだろ綺麗な顔に加えて、この世のものでない感がすごかった。笑ってても笑ってない。感情がなく体温がない感じ。ずっとすげえなと思って見てた。

石田三成役、谷戸亮太。笑いも芝居も雰囲気も好き。言葉を発しなくとも首の傾き目線でお芝居できる。イケメンイケメンと言ってるとイケメンに見えてきたし、まともで有能で優しくて、誰と付き合いたいかと言われたら三成と付き合いたいとまで思った。

竹中半兵衛役、井阪郁巳。話題性で起用されただけでしょと穿った見方をしていたら普通によかった。間が上手い。一人だけ令和からタイムスリップした発明の天才。令和から来たので良い意味で溶け込まず異質な人として存在していて、良きスパイス。

お市役、凰稀かなめ。男役のイメージだったので、まず声の可愛さにびっくり。そして歌声、気品、威厳。色々なものを覚悟する姫として完璧。オーラが凄い。2部でドレスアップして登場するのをみるのが楽しみだった。

浅井長政役、大山真志。たっきーの代役をしてくれた。るひまシリーズ常連で座長経験もあり、歌も芝居も上手く、そしてたっきーと似ていたのはまわりを明るく照らす雰囲気。やさしさ溢れた繊細な真志の長政かっこよかった。あとわがままボディなのに2部で踊らせると機敏で引きつける魅力がすごい。

正親町天皇役、辻本祐樹。色香と気品と狂気と安定感が凄い。神の子として奔放に振る舞いながらも、まわりと同じように生きられない悲しみみたいなものも感じた。本編と関係ないけど、2部で「1月1日」歌う前に平野さんとワチャワチャしてた。平野さんは段取りわからず「どうやるの、言って、言って。」と甘えてるし、辻ちゃんは耳打ちしてるし、今回は普段も安西くんのお兄ちゃんやってるなと思ってたけど頼れる人がいて良かった(何目線…)。

おっちゃん役、粟根まこと。超越していた。空気を落ち着かせ、一瞬で自分のペース。独特のリズムで語り継ぐ。優しい歌声。2部も全力で参加してくれ、どこか可愛らしく愛される雰囲気を持った方だと思った。


そして2部、特にカウントダウンはお腹がよじれるほど笑った。日比谷方面で仕事出来なくなる覚悟で挑む演出家、目のいっちゃってるイエスと様子のおかしいブッタ、許可の無いMAXの音源でそのまま踊る人達、段取りできない吉法師、頭おかしい人ばっかり集まった48カーブ。タイムキーパーを放棄して面白い方向へ促す司会の三上さん。
とくに48カーブは、イケメンオーラでキラキラ踊って低音ボイスの松田岳くんが、啓さんや嶺くんによってどんどんおかしくなっていく様子が面白くて、これがるひまの醍醐味か!ってなったし、嶺くんは本編すごいイケメンの秀吉だったけど 、そのぶん2部で壊れててこれが噂の木ノ本嶺浩か!てなった。そしてみんな頭のネジが飛ぶなか、通常運転で一番ぶっ飛んでる推しに何故か安心(?)した。推しとカウントダウンできて、そのあと死ぬほど笑えるなんて幸せな時間でした。

必要なスキルはクレイジーさも含めて全てもっているのに、どうしてよんでくれないんだと思っていた年末るひま。第九弾でやっと座長として呼んでくれて、平野さんの魅力を一度にたくさん見れた気がしてとても楽しかった。るひまさんも平野さんの存在に急に気付いたか5ヶ月の間に3つもお仕事くれたし、明治座さんからもミュージカルのお仕事もらった。これからも、どうぞご贔屓にお願いします!!

ミュージカル「FACTORY GIRLS~私が描く物語~」♯ファクトリーガールズ

女性だからというだけで低賃金で長時間労働を強いられている工場で働く女性たちが、現状を打破するためそして女性の権利向上のため立ち上がるお話。
女性が声をあげる度に虐げられてきた歴史から、編集長になった元ファクトリーガールズのハリエットは男達の顔色をうかがいながら、記事や公演会を使いゆっくりと女性の立場を向上させようとしていた。対するサラは現在進行形で自分達が虐げられている今の状況をすぐに変えなければ命も危ないという危機感から、攻撃的な記事を書き、訴えを起こし早急に行動しようとする。対立していくサラとハリエット。2人は、女性達はどうなってしまうのか。

サラとハリエットの対立は、声をあげる方法の違いであって、あくまで敵は社会であるという構図を崩さないところがドロドロしてなくて見やすかった。物語も女性目線だけではなく、男の管理者達の考えも垣間見えたり、もっとひどい差別をうけている移民者の話があったり、今の社会にも繋がるようなお話が色々とあり身につまされた。
世界観や衣装は「朱と煤」のようにほとんどが白と黒の世界で構成されていた。理解はできる。工場のお話だし貧乏な設定だし…衣装は工夫が凝らしてあって素敵だったし。でも女性が多いしせっかくだから色味がなくともステージングとか照明の工夫でもう少し華やかだったらなぁ。

サラ役、柚希礼音。カリスマ性と圧倒的オーラを必要とするこの役はまさに当たり役。実際にいるファクトリーガールズは十数名だったが、私にはうしろに数千人見えた。歌も魅力的で声量があって迫力があり素敵だった。男性がほぼ出て来ないが柚希さんを見てれば満足するので問題ない。

ハリエット役、ソニン。演技がうまい。歌に感情を込めるのがうまい。清楚で大人しそうだが、できる女ハリエット。苦悩する姿に萌える。改革おこしがちなソニンさん。歌に情熱や怒りを目一杯込められるので、おこさせたくなる理由がわかる。

アビゲイル役、実咲凜音。素敵!!アビゲイルのファンになった人も多かったのでは。綺麗で凛としてて、人の心に寄り添い、時に励まし時に叱ってくれ、いざというときは守ってくれる。姉御。だから悲しみも倍増した。

マーシャ役、石田ニコル。もー可愛い!お人形さんみたいに可愛いのに歌はパワフルで迫力がある。役作りも上手くて、彼女の存在は大きかった。以前の悔しさからミュージカルは避けていて久しぶりのようだけど華がすごくあるし歌も素敵なのでどんどん出てほしい。また見たい。

ラーコム夫人/オールドルーシー役、剣幸。お綺麗だし歌うまいし、ウイットにとんだこと言っても何しても気品がある。光の膜をつねに纏っている。そして役柄的にも母性溢れるお方。こんな風に歳をとりたいけれど、たぶん生まれ変わっても無理。

グレイティーズ役、谷口ゆうな。とにかく歌声が素敵。泣きそうになった。みんなを包み込む暖かいオーラを持っていて空気がやわらかくなる。

ベンジャミン役、猪塚健太。キスシーンかっこよくてキュンとなった。でもベンジャミンはハリエットのこと考えてるようで、イヤきっと何も考えてないボンボン。色々な役ができるようなので再演があったらサイコ側面強めで演じてみてほしい。
平野さんのツイッターの師匠。稽古場で心閉ざしがちの平野さんも心を開く素敵なお方。ご本人は誠実さが滲み出ているし可愛らしい。きっと人たらし。

戸井勝海さんも原田優一さんもインパクトも上手さもさすが。男性陣はプリンシパルは4人いるが女性メインであまり出て来ない。でも重要な役どころなので演技力がある濃い人が集められた感じがした。男性陣が薄味だと全体が薄くなる。


シェイマス役、平野良。出て来た瞬間からイケボ。どんどんいい声になってませんか。シェイマスも出てきては決め台詞を言う。短いセンテンスでも説得力とできる男感をしっかりと印象付け、サラを導くのにふさわしい人物を作り出していた。でもシェイマスは最後尻込みしてしまう。そこで!?と思う一方で、ずっと移民の立場に立ってきたからこそ、移民のことを思うと何も言えなくなってしまったんだなぁと感じた。でも何かもっといっぱい出てもよかった気がした役だった。

作品も評価が高かった様子。でもやっぱり出番がな……うん…アミューズ主宰だけど、ソロはあったし、る変に出るきっかけ(逆かしれんが)になったのだろうし。あと色々な技術が求められる年末るひまにおいて演出の原田さんに多少なりとも実力を知ってもらえるのは良かった。そして、る変の主演になったからW主催の明治座がモリミュ見に来て、明治座主催のチェーザレでることになったのかもしれないし。全部想像だけど繋がってる感じのお仕事が続いている。


アミューズの宣伝力はすごかったけど、初演なのもあり女性だけなのもあり集客が弱くて、そんな中チラシや宣伝文句がいけなかったと言ってる方がいて、チラシはおしゃれな感じじゃなく、歌詞にある「戦え!最後に笑うのは私たちだ!」を表題に工場の中で柚希さん筆頭にしてうしろにガールズ達並べて煙立ち上らせたらよかったんじゃないかみたいな事をつぶやいていて、まさにそれ!ってなった。パワフルに歌えるかっこいい女性が多かったからもったいなかった。ビジュアル大事。女性だけのミュージカルは珍しいしお話も面白かったので、どうしたらよかったかなぁとあれこれ考えました。再演を願っております。